あなた、そこにいてくれますか

薬の効き目は眠っている間だけ、タイムトラベルできるのも10回のみ。これ以上失いたくない、もう悲しみたくない。どんなに辛くても死ぬよりはましと「2人の自分」は決断を下す。人生とは選択の連続、それを運命と呼ぶのだ。

監督 ホン・ジヨン

出演 キム・ユンソク/ピョン・ヨハン/チェ・ソジン/キム・サンホ/アン・セハ

ナンバー 159

批評 ネタばれ注意! 結末に触れています

もし若いころに戻れるなら何を望むだろう。「もっと努力すべきだった」「夢をあきらめなければよかった」「違った道があったかもしれない」。だが、主人公は婚約者だった女との再会を願う。物語は魔法の薬で30年の時間を遡り、当時の自分と出会ってしまった男の苦悩と逡巡、愛と葛藤を描く。薬の効き目は眠っている間だけ、タイムトラベルできるのも10回のみ。やがて20代と50代の「2人の自分」は時空を超えた連絡方法を生み出す。ところが、50代の自分は恋人の死を20代の自分に伝えてしまったため過去から帰った時の現在が歪んでしまっている。これ以上失いたくない、もう悲しみたくない。どんなに辛くても死ぬよりはましと、「2人の自分」は決断を下す。人生とは選択の連続、それを運命と呼ぶのだ。

村の長老からもらった金の粒を飲んだスヒョンは1985年にタイムスリップ、吐血したところを研修医だった自分に介抱される。そして、恋人だったヨナを一目見ようとするうちに、予期せぬ感情にとらわれる。

現在のスヒョンは一人娘・スアをこよなく愛している。それはヨナへの思いとはまた別の気持ち。一方で、これから起きる事故からヨナを遠ざけ20代の自分と彼女が結婚してしまうと、スアは生まれてこない。スヒョンはヨナと別れ、ヨナを救いスアの存在も担保しようとする。因果は巡り、待っていたのはヨナにも親友からも恨まれる限りない孤独。このあたり2人のスヒョンの心情が繊細に再現され、それでも過去を変える勇気はあるかと問う。

◆ネタばれ注意! 以下 結末に触れています◆

その後も少しずつ過去を修正していく50代のスヒョン。現在に悪影響を及ぼす可能性もあるが、その時点で正しいと思った行動をとる。彼の姿は、時に直感に従うことも必要で、良心に基づいた行為ならばきっと良い結果を生むと訴える。50代のスヒョンは末期の肺がんに侵されている。医師なのにヘビースモーカーという先進国ではありえない光景、そんな韓国の喫煙事情に嫌悪感を抱いたが、実は伏線として機能していたあたりに好感が持てた。

オススメ度 ★★★