中野好夫氏、 トルストイ、正宗白鳥、スウィフト 

中野好夫の「人間の死に方」とかいう古い本のことを

ミクシに書いた気がするのだけど、半年遡っても見つからない。

昨日は、トルストイ正宗白鳥、スウィフト、の部分を読み直した。

まず、資料の読み込みに感心する。

まさか、トルストイなど、全部を読まれた訳では無いと思われるけど、

つぼを外さずに調べておられるのだろうが、すごい。

中野氏は、翻訳は、材料を上手に選びさえすれば、売れるから、

自力で作品を書くより、儲かると言ったそうだ。

また、彼は、戦犯だと聞いていたが、

それは、戦争協力したからではなく、

戦争中、戦争反対しないで、傍観していたのを悔いて、

自分で自分を戦犯と規定したという事らしい。

戦争中、反戦活動をした知人は、逮捕されたのに、

彼は、それを知っていながら、何もしなかったという反省。

この本を書いた時、中野氏は60過ぎで、今の私と同じ年。

(さて、本に戻って)

1、トルストイの30年間の苦悩。

相続財産と勤勉な努力による豊かな印税、大勢の家族にも恵まれ、

清貧に生きたいという、切なる希望が叶えられない。

「楽しい地獄」

彼の著作に感動したファンが、彼の豪壮な生活に失望し、非難する。

2、正宗白鳥は、死の直前に、キリスト教に回心した。

中野好夫自身の若い時の生き方(一旦、棄教)と白鳥は似ていた。

中野氏は、両親がクリスチャンだったらしい。

長命な白鳥は、両親と3人の弟達の死を経験し、作品化する。

若い時には、内村鑑三に惹かれ、植村牧師にバプテスマを受けるが、

一旦、辛辣な批評家として名をあげ、

死の直前には、その植村牧師の娘の牧師に導きを受ける。

3、スウィフトの老衰の自覚。

スウィフトは、50代の作品で、90歳を超えて不死を生きる

老衰の残酷さを描いたが、自分自身の老衰を10年以上

そのままに自覚しながら生きる事になってしまった。

彼の持病は 若い時からのメニエール病などだったらしいが、

メニエールは ふつう過労から来るから、彼は過労だったのか?

それから、私はアイルランド旧教のシステムを知らないのだけど、

ふつう、カトリック(旧教)は、聖職者に独身を要求する。

スウィフトは、生計を立てるために、聖職者の地位を持つのだけど、

3人の女性と、同居はしない、つまり、性関係は無い恋をしている。

3人目には、結婚を申し込んでいる。(断られるが)

初めの2人は、女性の側が結婚を望んでいるのに、受け入れない。

この2人は、失恋の結果として、若死にしている。

1人目の女性は、往復書簡を焼かれ、静かに死んでしまったが、

2人目の女性は、彼の手紙を勝手に出版して復讐した。

3人目の女性は、結婚をはねつけた。

この不可思議な女性関係が独特。

これが、聖職者ゆえという事は ないのだろうか?

中野氏は、そういう点は書かないから、

アイルランド旧教は、「結婚可」なのかもしれない。

スウィフトの、この女性関係を詳しく書いてくれる人は

なかなかいない。

ウィキでも、さらりと触れているだけで、異様さは伝わってこない。

スウィフトは、実の父が死んだことになっていたが、

母親が、彼を幼少期に、親戚に託して別れてしまったため、

母の愛を知らずに育った人。

パトロンになってくれた人は しっかりした人だったけれど、

彼は、大学時代、放蕩し、真面目に生きなかった。

安定した家族や、親の支えが無かったせいか?

今回、初めて、ガリヴァーが、医者の設定だと知った。

この本には、まだまだ、ロシアの詩人の決闘死した、プーシキン

やはり、異常な人生などが、詳しく書かれている。